
リアル播州織とは
播州織は、織物工場だけでも133件(2020年3月末データ)ある比較的大きな産地で、独自のブランドや店舗を有する会社も多く、催事やイベント、展示会などにも各社精力的に出品しています。 「リアル播州織」では、これらの情報をリアルタイムで発信すること、そしてこの産地のリアルな現場を知っていただくことで、播州織の魅力を多くの方に伝えていきます。
BANSHUORI
播州織について
緑と良質な水に支えられ、230年以上の歴史を歩んできた播州織は、兵庫県多可町と西脇市エリアが主の播州地方にあります。先染め綿織物産地として過去にはギンガムチェック生地の大量生産・輸出で栄え、2,000件近くの織物工場がありました。現在、最盛期の20分の1ほどの事業所となっていますが、播州織産地は時代とともに進化を続け、各事業所が独自のものづくりにより、多様な変化を遂げています。
播州織の工程
播州織の工程は大きく分けて4つあります。
糸を染める「染色会社」、経糸を整経する「サイジング会社」、織物を製造する「織物工場」、仕上げの加工を行う「加工会社」。そして製造工程とは別に、織物を企画してアパレル会社などと商談する「産元商社」や、播州織生地や商品を取り扱う「関連会社」などがあります。
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サイジング会社
たての糸をつくる
織物製造に用いる「経糸(たていと)」を整経する会社です。染色会社で染められた糸を経糸にして、製織時に糸を切れにくくするために糸への糊付けも行います。
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商流の変化
播州織は過去に大量生産・輸出で栄えた産地です。
昔は産元商社が大きな力を持っており、産元商社から各工程に業務を発注して仕上がった生地をアパレル会社や卸会社などに卸していました。現在でもこの流れは健在ですが、近年は各工程から直接商売する流れも増えています。
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これまでの播州織産地
産元商社が仕事を請け負って、各工程に依頼して仕上がった生地をアパレル・卸会社などに卸す「産元商社が中心」の流れがメインでした。産元商社以外の各工程は完全下請けで業務を行ってきました。
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近年の播州織産地
他の伝統産業と同じように播州織も海外で安く生地を製造する会社に仕事が流れていきました。これまでと同じように産元商社に頼ったビジネスモデルでは事業継続が難しくなってきたため、各工程から直接商売していく流れが増えてきています。
3種の織機
播州織では、無地から複雑な柄まで幅広く製造していますが、織物工場によって導入している機械が異なります。機械は大きく分けて3つあり、それぞれに特徴があります。
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平織機
シンプルだけど高速
平織り(ひらおり)機とは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせて織る、最もシンプルな生地を製織する機械です。交互に浮き沈みさせることで、丈夫で摩擦に強い織物となります。
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ドビー織機
風合いある生地が得意
筬(おさ)と呼ばれる枠に経糸を通し、糸を上下させる組み合わせによって柄を表現します。小さいドット柄や短い間隔でのリピート柄を作ることができます。風合いある生地が得意です。
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ジャカード織機
複雑な柄も表現可能
先染め織物の中で最も自由度が高い機械です。使用する緯糸の色数に制限はあるものの、織り方だけで複雑な柄も表現することができ、写真を織物で表現することも可能となっています。